FXと税金(3)

今回は「FXと税金」シリーズの第3弾となります。

 

第1回目はFXで利益が出た場合でも

所得税の確定申告をしなくても良いケースについて書きました。

 

fxsubaru.hatenablog.jp

 

 

第2回目は主にFXの税率や損益の通算について書きました。

 

fxsubaru.hatenablog.jp

 

 

シリーズ第3回目の今回はFXの事業性(税務上、事業所得となる要件)等について

書きたいと思います。

 

所得税制においては、所得区分という考え方が重要であり

その所得がどの所得に分類されるかによって

所得の計算方法や細かい取扱いが異なってきます。

 

まず前回の記事の中で、国内業者を使った場合のFXの所得というのは

申告分離課税というものに分類されるとご説明しましたが

申告分離課税というのは所得区分ではなく

税金計算上、他の所得と分離して計算されるという意味合いになります。

では、国内業者を使った場合のFXの所得区分は何になるのかというと

事業所得または雑所得ということになります。

つまり、申告分離課税の事業所得または雑所得ということです。

 

「または」という言葉を使いましたが

一般的には雑所得に分類されるケースがほとんどであり

事業所得に分類されるのは、ある意味例外と考えていただいて結構です。

ではなぜ事業所得と雑所得という2つの区分で何が違うのかというと

細かい取扱いはさておき、

大きな違いとしては青色申告ができるかどうかということが挙げられます。

 

よく、自分で確定申告をすること自体が青色申告だと勘違いしている人もいるようですが

青色申告というのは所得区分として不動産所得、事業所得、山林所得の

いずれか一つ以上の所得がある人が事前に青色申告承認申請書を税務署へ提出して

初めてできる申告ということになります。

まあ確定申告書の用紙自体は同じですので(青色の区分に〇がつくだけ)

ぱっと見は普通の確定申告書と変わりはありません。

(昔は確定申告書の用紙自体が実際にブルーでしたが今は統一されました)

 

上記のように青色申告できる所得区分に雑所得がありませんよね。

一般的なFXの所得は雑所得になると説明したように

雑所得のままでは青色申告はできないことになります。

「じゃあ、別に青色申告しなくてもいいよ」という場合は

白色(青色申告ではない場合は白色申告という)でも問題ありませんが

青色申告の場合には税制上のメリットがあります。

 

FXで青色申告した場合にどんなメリットがあるかというと

大きな点では青色申告特別控除という控除枠があることです。

他にも青色事業専従者給与といって、同一生計の親族に給与を支払った場合に

その給与を必要経費にできる等の規定もあるのですが

個人でFX事業をやった場合に家族に給与を払うだけの理由があるかというと

一般的には対価性に問題が出てくると思いますので

ここでは専従者給与のお話は省略します。

それ以外にも30万未満の少額減価償却資産の即時償却等のメリットもありますが

この辺も調べればすぐわかると思いますので省略します。

 

青色申告特別控除というのは

複式簿記で記帳を行い、損益計算書と貸借対照表を添付した上で

期限内申告をした場合に必要経費の他に最大65万円の控除が受けられるというものです。

簿記の知識と、ある程度の税務知識があれば

あとは安いパッケージ物の会計ソフトでも買ってくれば

記帳はパソコンでできますし、

きちんと記帳ができれば損益計算書と貸借対照表は自動的に出来上がります。

 

それだけで65万円の控除が受けられるのですから

前回の記事で国内FX業者の税率が20.315%と説明したように

65万×20.315%でおおよそ132,000円ほどの節税効果があります。

かなり大きなメリットですよね。

事業所得と判断されれば、この青色申告のメリットを享受できるわけですから

節税に必死な方は事業所得について調べるわけです。

 

まず、所得税でいうところの事業とは何かを調べると

所得税法第27条で

「事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業

その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得をいう」と定義されています。

そして所得税法施行令第63条で

「事業所得に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業とする」とあり

一  農業
二  林業及び狩猟業
三  漁業及び水産養殖業
四  鉱業(土石採取業を含む。)
五  建設業
六  製造業
七  卸売業及び小売業(飲食店業及び料理店業を含む。)
八  金融業及び保険業
九  不動産業
十  運輸通信業(倉庫業を含む。)
十一  医療保健業、著述業その他のサービス業
十二  前各号に掲げるもののほか、対価を得て継続的に行なう事業

以上が列挙されています。

 

さて、FXはどの項目に該当するでしょうか?

上記でいうところの〇〇業とは言えませんので

第12号の対価を得て継続的に行なう事業になるかどうかがポイントとなりそうです。

しかし、ここでいう事業について明確に規定があるわけではないため

過去の判例等から読み解く形になります。

 

有名な判例としては次のようなものがあります。

事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、

1.営利性・有償性の有無

2.継続性・反復性の有無

3.自己の危険と計算における事業遂行性の有無

4.その取引に費やした精神的・肉体的労力の程度

5.人的・物的設備の有無

6.その取引の目的

7.その者の職歴・社会的地位・生活状況

などの諸点を総合して、社会通念上事業といい得るか否かによって判断する。

 

サラリーマンが副業的にFXをやった場合は7番などが引っかかりそうですね。

実際にFXが事業になるかどうかを争ったケースでは

FXが事業として社会的客観性が認められるには

相当程度安定した収益を得られる可能性がなければならないと解釈されています。

一般的にFXは投機性が高く、継続的に安定した収入が得られる可能性に乏しいとの

判断等に基づき雑所得とされた事例があります。

またパソコン1台だけでは5番の人的・物的設備の有無でも問題となりそうですし

一般的な事業では借入という形で資金調達することが多いですが

これも問題とされていたようです。

 

以上のようにFXが税法上の事業と認められるには相当ハードルが高いと言わざるを得ません。

少なくとも他に職業のある人間が副業的にやるようなケースでは

ほぼ100%事業とは認定されないと思います。

主婦がすき間時間に自宅のパソコンでちょこちょこFXをやるのも

当然ながら事業とは言えないでしょう。

 

事業と認定されるにはトレード専用の事務所を用意して

それなりの設備を持ち、人も雇っている状況を作り

1日のうちの多くの時間をトレードに費やし

毎月安定した収益をたたき出すような形にならなければ難しいということです。

 

青色申告承認申請書を提出した時点では

形式的な書類上のミスがなければ税務署は何も言ってこないでしょうが、

数年後、実際に税務調査となった場合には

完璧な状態が揃っていなければ事業としてのFXに疑義が発生することとなり

過去に青色申告特別控除として受けたメリットも取り消されることとなるでしょう。

 

仮に海外のFX業者を使って事業所得と申告した場合は

前回の記事でも書きましたが

総合課税の事業所得が赤字の場合は他の総合課税の所得と損益通算ができますので

給与所得などのプラス部分と相殺可能になります。

(前回の記事でいう所得内通算とは違いますよ)

そんな簡単に事業所得と認定してしまっては変な節税術も横行しかねません。

 

 

安易にネットの情報を信用して

FXを事業所得として申告しようとされている方は考え直した方が良いと思います。

税務署と争うことになったらほぼほぼ負けることが見えています・・・

 

 

 

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